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草の竪琴/トルーマン・カポーティ
a0016447_25728.jpgまたカポーティを読みました。
この話は彼の自伝的小説で、
孤児の少年と母親代わりの女性の間に生まれる
血縁に似ないこともない深い友情を、
繊細な視線と軟らかい洞察で優しく書き留めた、
ガーゼのような物語です。
彼は、短編集『夜の樹』の中でも、
同様の設定で1つの物語を書いています。
まさに彼の原点と言えるような、
イノセントワールド。
それは多分、彼の中でリフレーンされ続けていた、
反駁せざるをえなかったストーリーなのでしょう。
それって誰にでもあるものだなと思います。
多くは失われてしまった光か、
路に落ち残った影か。
どちらにしろ、うつつでは戻って繰り返すことのできない、
過ぎ去った幻影なのだと思います。
だからきっとそれは、経験していないことではない。
例えば子供の頃のすべりだいや、
土手や、駄菓子や、シロツメクサや、
喧嘩や、失恋や、コンプレックスの根源とか、
自分の軌跡にまつわる他愛無い挿話が、
いつまでも疼く火傷のように離れないことがあるでしょう。
ありませんか?私はどうしてかは分からないけど沢山あるんですが。
そういうものたちが時として…いや少なからず、
創造の糧となることがあるんですよね。
何ものにも勝る、凄いエネルギーだと思います。
何故だろうと理由を考えると、とてもじゃないけど分からない。
だからそこが尊くって、世の中捨てたもんじゃないなと、
偉そうに何かを悟ったような気になることが、ないこともないです。
by naho929 | 2004-05-27 02:58 |
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