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ムーン・パレス/ポール・オースター

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人生はこの世に生を受けた人の数だけあって、
当たり前の人生なんて1つもありません。
だからありえない人生のあらすじなんてありえない。
何が起こるか解らないのが生きるということで、
そんな無限の可能性にわくわくしながら生きることこそ、
人生の醍醐味と言えるのかも知れません。

運命というものが本当に存在するのかどうか、
いつでも迷う度にこの迷信によりかかってしまう弱い私には核心を捉えられる自信はありませんが、
しかし、一筋のTRUEを信じて、
それをできるだけなぞろうとする臆病な生き方には
こぼれ落ちる可能性を受け止めるだけの魅力が果たしてあるのかどうか、
ある起点に辿り着いた時にふと疑問に思い、
今目の前にあるやりきれない現実から目をそらすことが正しいとは言えないまでも、
同時にそらしてはならないという強制もそこには存在しないと、
ふと実感したことがありました。

この物語を読んだときに、そんな自分の身の上話と重ね合わせたりして、
「生きる」という執着にまつわる様々な価値観の在り方を考えました。
主人公は自分を意味もなくどん底の状況に押しやったり、
とにかく後先を考えずに突発的な動き方を繰り返すのですが、
でもそもそも後先を考えて守ろうとするものって何なんでしょうか。
目に見えないそれは、無意識の下で重たい枷になっているのかも知れません。
本を閉じたら、そんなビジョンがのうみそに焼き付いていました。

しかし動き続ける彼の目指す地点は終始曖昧なままです。
孤独から孤独へと、まるで月の輪郭をなぞる様な軌道を描く彼の物語は、
人生の唯一の普遍を示唆するメタファーのように感じました。
by naho929 | 2004-07-23 17:40 |
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